イルミネーションのこれだけは許せない話
勘弁。
これだけは勘弁ってのがあって。
例えば僕をイルミネーションで輝かせたい人がいるとしますよね。
余程の事でない限り、僕はそれを笑顔で受け入れると思う。
「腕はこうした方がいいですかね?こう?いてててこれはちょっと…ええ?もっと?これ以上は初めての角度ですけど!」
とか言いながら何だかんだ協力する。
ただね、一個だけ許せないイルミネーションがあるんですよ。
街でたまに見ません?
街路樹にLED巻きつけてあるやつ。
別にそれ自体はまぁ、人間とはそういう生き物だしなで済ませられるんです。
程度問題ではあるけれど、樹木が著しく弱るわけじゃければ別にって。
ただ、木に巻き付けているくせに、幹部分はオレンジ色で上部は緑色のライトにされてるのありません?
木っぽく光るようにしてあるやつ。
これはムカつく!
これはね、ムカつくんですよ!
木サイドにとっては煮えたぎる思いですよ。
「いや、既に木だし!」ってなるでしょ。
木に巻きつけといて”木!”にしてるってさ、流石にこれはちょっと責任者呼んで来いってなるでしょ。
根っこで責任者を愛車の高級車ごと捻り上げて大地の怒りに晒してやるわって。
例えばね、僕にLED巻き付けておいてさ、僕の色に光らせられたら普通キレるでしょ。
「ちょっとストップ!止めて止めて!」
なるよ。
中断入るよ。
僕だって本当は嫌ですよ。
楽しくやりたいよ。
地域の子供達が集まっててさ、暗くなるのを楽しみに待っててさ、さあいざ点灯式ですーつってパーって光ったらさ、まぁ僕の色に輝くわけですよ。
拍手とかわき起こってる所申し訳無いけどね、これは止めさせて頂くよ。
責任者「いやこれは一種のリスペクトとしてですね…」
僕「いやいや違うでしょ。そのまんまのカラーにしたらさ、元々がイマイチだからパワーアップさせましたみたいな事になるでしょ?」
責任者「いえ、そんな事は…」
僕「大体ね、このクソ寒い時期にね、巻きやすいように薄着で来てってさ。まぁそれでみんなの笑顔が見れるっつーんなら大した事じゃないと思って了承はしたよ。でもね、正直言うとやっぱヒートテックでも結構厳しかったよ?」
責任者「はい…」
僕「んでさ、蓋を開けてみたら何これ?この色。何この、僕の色の発光ダイオード。僕の感情がヒートテックしちゃったよ!」
責任者「はは…」
僕「笑うとこじゃないんだよ」
責任者「すみません…。ただ、その…日中の素晴らしさをですね、夜の暗くなった時でも楽しめるようにと思っておりまして、その、結果こういう形になりましてですね」
僕「いやどういう事だよ」
責任者「暗いと素敵な感じが見えにくいかなって思いまして、ほら、日が短くなった事もありますし、より長く素敵な感じを堪能できるようにと、夜でも同じデザインに輝くようにさせて頂きましてですね」
僕「そうなの?まぁそういう事ならまぁ…今回だけ特別にいいけども」