玩具コーナーという名の牢獄
子供ら連れて百均に行くと、あいつら棚に触れたり座り込んだりするからゆっくりと買い物ができないじゃないですか。
だから子供らは玩具コーナーにぶち込む訳じゃないですか。
玩具コーナーはプリズンだから。
「ちょっとそこにいろ」って。
「そこで反省しろ」って。
でもあれもさ、うちの場合は意外ともたなくて。
各々が欲しい玩具手にとって脱獄すんのよ。
こっち使うかどうかもわかんねープラスチックケースのコーナーとか物色してんのに、脱獄犯が玩具片手に出現すんのよ。
社会復帰はまだ早えっつーの。
看守不在の刑務所なんてこんなもんかよ。
「それ何に使うの?」
とかさ、聞いてくるわけ。
痛いとこつく。
知らねーよ。
こんなプラスチックケースの使い道なんか知らねーけど、なんか見たくなるじゃんよ。
本当はいらねーんだよこんなもん。
そっちこそなんだよそのショベルカーの玩具。
クソいらねーな。
5歳の次男が持ってるショベルカーの玩具クソいらねーな。
手動でかろうじてアームが稼働するのみで、プルバックで走るわけでも無いし。
何なんだよそれ。
雑魚かよ。
3歳の三男が持ってる玩具に至っては変な線路だし。
我が家にあるプラレールとの互換性が一切ない、某百均オリジナルのプラレール的玩具の線路パーツ。
馬鹿かよ。
オリジナルのレールとかクソ雑魚だろ。
せめて車両持ってこい。
玩具コーナーの脱獄犯を連れてプラスチックケースコーナーというまた別の牢獄から脱獄した僕は、再び玩具コーナーに舞い戻る。
そんで子供らの手に持つ玩具を奪い取って陳列棚に戻していく。
このまま帰ったら奴らは不満爆発するわけだけど、僕の検閲を通過すれば買ってもらえる事は分かっているので、他の候補を出してくるわけ。
その時点で分かるんだけど、奴らの選定基準はあって無いようなもので、目についたものを片っ端から手に取っている事が殆ど。
どうりで買っても一瞬で遊ばなくなってゴミになるわけだ。
ここで不思議な事に逆転現象が起きる。
こちらが彼らに納得してもらえて、尚かつゴミにならない見込みの玩具をプレゼンする事になるのだ。
「これはどう?面白そうだよ?」
「イヤだこっちがイイ」
(うっわぁうんち型スライムとかクソいらねー)
っていうやり取りを何度も繰り返す。
何度もプレゼンブレイクされるわけ。
ここで僕はアイロンビーズを指差してみた。
「これで色んな形の物が作れるんだよ」
すると彼らの目の色が変わった。
「これにする!」
実は彼らは何をするものなのか理解はしていない。
よって僕の売り文句が良かっからアイロンビーズに決定した訳ではない。
カラフルな粒が無数に入っているから何かイイのだ。
子供というのはそういう生き物。
僕自身も覚えている。
という訳でアイロンビーズを買ってきまして。
したら思いのほか好評で、みんな我先に作品を生み出していく。
長男は定番のマインクラフト系。
三男は意味不明な物体。
それぞれ良さがある。
ただ僕の中で次男の生み出した作品が中々にツボで。
作品名「燃えているバナナ」
良い!
良いよ君!
その調子だよ!
褒めたらすげー笑顔になった。