電車のドアをぶっ叩くイカれたお客さんとの密室トーク
僕は現在タクシー運転手をやっておりまして毎日いろんな人と出会うわけですよね。
そりゃあもう、次から次へと。
三国無双かってくらい。
ただほら、出来ればあまりエキセントリックなお客さんとは出会いたくはないじゃないですか。
三国無双でいう所の張角みたいのには出会いたくはないじゃないですか。
エキセントリックの中にも良いエキセントリックと悪いエキセントリックがあって、良いエキセントリックな人は全然良いんですよ。
例えば謎の漬物を手掴みでくれるお婆ちゃんとかは良いエキセントリックな人ね。
実際いたからねこれ。
でまぁ先日の深夜に乗せたお客さんがですね、中々どうして悪い方のエキセントリックだったのでお伝えしたいんですが。
もう営業所に帰ろっかなーって時間帯に某鉄道の駅前を通ったんですよ。
そしたら人だかりを発見して。
深夜だから駅前でも暗くてね、どういう人達なのか全然見えないの。
そんでそのうちの一人がこっちを見つけて手を挙げるじゃないですか。
そしたら乗せるために停車しますよね。
ヤンチャな見た目の中年男性でしたよ。
で、その人が乗車する際に人だかりに振り返って言うんですよ。
「騒がせたね」
あれ?って思って。
残された人だかりをよくよく見たんですけど。
全員お巡りさんだったよね
こんな嫌な予感ある?
絶対何か成し遂げた人じゃん。
この人絶対お巡りさん絡みの何かを成し遂げた人じゃん。
ただもうこうなっちゃうと拒否する事も出来ないから。
見送るお巡りさんの集団を尻目に言われた行き先へ向かうしかない。
「チッ!あー腹立つわー!」
とか言ってる。
さっそく言ってる。
「こっちは改札から必死に走って終電に乗ろうとしたのによ、ドア閉めやがったんだよ」
『あー終電に乗り遅れちゃったんですか?』
「乗り遅れてねーよ!乗ろうとしたらドア閉めやがったんだよ!ドアガンガンぶっ叩いたのに開けねーんだよあいつら!」
はい。
悪い方のエキセントリック。
"あいのり"の新シリーズにこの人いかが?
結構見逃せないイベント起こすと思うよ。
すぐドアとかぶっ叩くキャラって事でいかが?
狭いタクシー車内で僕だけが独り占めするのもなんだか申し訳なくて。
「駅員に文句言ってもよ、安全の為に一度閉めたら開けられないんですとか言いやがるんだよ。そんな訳ねーじゃん!おかしいだろ!開けられんだろ!」
『ですねーおかしいですねー』
いや無理無理。
反論はできねーって。
反論でもしようものならエキセントリックな人がさらにエキセントリックな事しちゃうって。
こっちも電車のドアかなってくらいぶっ叩かれちゃうって。
やるときゃやる人だってこいつは。
「そしたらよ、いつも間にかあいつら警察呼びやがってよ!駅の外に出されてよ、ふざけんなっつーんだよ!」
『いやほんと舐めてますねー』
「だろ?ただドア開けりゃ済む話だったのにふざけてんだろ!」
『それは許せませんよほんと』
「そしたらよ、どっかの訳わかんねー通行人がお前みたいのが税金の無駄遣いだとかほざきやがって。俺本気でそいつぶっ殺してやろうと思ったわ!」
いやー勇気ある通行人がいたもんだよね。
まぁでもほら、勇気はあるけどその時には警察に囲まれている状態だっただろうからさ、言えますよ。
こっちは今解き放たれちゃってる状態だから。
警察による封印から目覚めた怒れるモンスターだから。
「警察いなきゃぶっ殺してやったんだけどな!」
『ほんとそいつぶっ殺してやりたいですねー』
わりとさっくり口から出てた。
「結局あの通行人が一番腹立つわー」
『ですねー。結局そういうクソみたいな奴が一番の税金の無駄遣いなんですよ』
わりとすんなりやり玉に挙げてた。
意味不明なロジックでやり玉に挙げてた。
「160円で帰れる所をタクシー代で10倍だよ!やってらんねーよ!」
『これは仕方ないですねー』
途中からあわよくばタクシー代を踏み倒そうという方向に持って行こうとしてたけど、そこだけは断固として拒否っといた。