【日常】彼らの只ならぬ関係の真実
絶対おかしい。
絶対おかしい。
いやこの世は不条理で出来ているなんて事も言われるけど、それにしたって彼らはおかしい。
もう解散すべきですって。
元々ね、無理な関係だったんですよ。
それをここまで続けて来たって言うのは逆にすごい事。
でもね、そんなギクシャクした状態で続けてたってファンは喜びませんって。
まぁ蟻とアブラムシの関係の事を言っているんですが。
こうなるとファンって何の事だったのか分かりませんけど、それは置いておきましょう。
蟻とアブラムシの只ならぬ同盟関係はご存知ですよね。
アブラムシの出す甘い汁が蟻の好物で、蟻はそれを貰うためにアブラムシのボディーガードをしてるアレ。
あれさ。
どーやったらそんな関係になれんの?
蟻は社会性を持ってるくらいだから頭がそこそこ良いのは分かる。
けどさぁ、アブラムシが甘い汁を出す事を知ったらさ、普通そのまま食うだろ。
何でボディーガードに甘んじているんだよ。
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アブラムシの天敵と言えばご存じてんとう虫。
蟻は主にそのてんとう虫を追っ払う役回りですよね。
とは言え成虫のてんとう虫は多少蟻に噛まれたくらいじゃ動じませんから、もう無理ーってなるまではアブラムシ食いまくります。
見ちゃうでしょ。
その時見ちゃうでしょ。
てんとう虫がむしゃむしゃアブラムシ食ってるのを見ちゃうでしょ。
ゴクリって。
ゴクリってなるでしょ。
これ、いるね。
これはいるね。
何匹かはさ、こっそり食っちゃってるよね。
じゃないとおかしいでしょ。
僕が蟻だったら確実に食うけどね。
試しに軽くお尻の辺りかじってみてさ。
「え?」
みたいになるじゃないですか。
アブラムシが「え?嘘でしょ?」っていう顔するじゃないですか。
「あーごめんごめん。一瞬敵かと思っちゃって」
「あ、そうだよねー、あるよねー、アハハハ」
一旦はそれで落ち着かせるよね。
探り入れた感じね。
相手の油断具合とか見ておきたいよね。
そんでまぁ感触的にイケるなってなったらさ、夜行く。
そしたらターゲットもそういう時に限って起きてんだよね。
「あ、蟻君も星見に来たの?」
「えっ!?ああ、ま、まぁ…そうだね」
「綺麗だねー」
「うん、あ、あのさ、アブラムシさんってさ、その、例の甘い蜜さ、主にどの辺りに蓄えているのかな?」
「え?どういう事?」
「いや何でもないんだけどさ、逆に、逆に知っておこうかなっていうか」
「逆?」
「いや何でもない」
「今日の蟻君なんか変だね」
「そうかな?」
「私ね、薄々気づいてた事あるんだ」
「え?」
「蟻君がさ、私に優しくしてくれるのって、もしかしたら私の出す蜜目当てなんじゃないかなって」
「そ!そんな訳!」
「正直に言って!蟻君のその優しさ、私には辛いよ」
「…」
「男の人ってさ、結局体目当てなんじゃないかって」
「そんなことっ!あ…、ごめん…また、嘘ついたかもしれない…で、でも!嘘じゃない!その…うまく言えないけど…」
「うふふ」
「どうして笑うの?」
「だっておかしいんですもの。蟻君が可愛いから」
「ば、馬鹿にして」
「うふふ。ねぇ蟻君?」
「な、なに?」
「誰もいないね?」
「え?う、うん…」
「蜜の隠し場所、おしえてあげよっか?」
「アブラムシさん…」
「捕まえられたら教えてあーげるっ!」
「あ、ずるい!待って!アブラムシさーーん!」
「うふふふふー」
「あははははー」
あー、こりゃあれだわ。
こんな感じだったら絶対にアブラムシさんを天敵から守るわ。
こういう事だったのかぁ。