困ったらひろし
タクシー業界の平均年齢は60歳くらい。
当時24歳でタクシー会社に入った僕は、先輩だろうが後輩だろうが30歳〜40歳くらい上の人達とやり合って行かなければならなかった訳。
もうこうなってくると話が合うとか合わないとかじゃないのね。
お互いの探り合いがすごくて、こっちは頑張って譲歩して少年隊の話題とか出してんのに、あっちもあっちで嵐とかの話題出してくるから。酷いすれ違いの空中戦。高度が全く違うからお互い全然弾あたんねー。
気の遣い合いにはジャニーズが駆り出されがちっていう謎の現象が観測されただけ。
そんな中、押し付けられる形で幹事やら班長(小集団のまとめ役)やらをやる事なるのだけど、年齢差で一番困ったのが班旅行の宴会なんですよ。
旅館での宴会って、挨拶やらお酒を注いで回るみたいな要らん作法がある訳で、それを当たり前としてきた世代に対応しなきゃならないの。
注いで回るのはまだ良いけどさ、一応肩書きが付いているから、60代70代とかに注がれるんですよ。こっちお酒殆ど飲めないのに。落ち着けよ御老体。
さらにはカラオケね。
これはマジで困る。
班員の中には、歌が上手だけどそれ故に出しゃばらずに、自分からは曲を入れない人ってのがいるわけ。
拗らせお爺ちゃんがいるわけ。
こういう人の為に曲を入れておいて、順番が回ってきたら「○○さん、お願いします!」つってマイクを渡すわけ。
でもさ、何を入れていいか分かんないじゃん?
マリリン・マンソンとか入れても多分駄目じゃん?
こういう時は別のベテランにこっそり聞く。
「○○さんって誰の曲歌うんですかね?」
「ああ、○○さんはね、何でも行けるよ」
黙れよじじい。そうじゃねえだろ。具体的なのくれよ。マリリン・マンソン入れるぞ。
そうやって、現場で磨き上げられ、悩みに悩んで導き出したライフハック。
五木ひろし最強説。
知らなかったでしょ。
あの世代における五木ひろしの力は半端じゃないのよ。
取り敢えず困った時はひろしエスケープよ。ひろし入れときゃ間違い無い。
インフルエンサーがウケようとして、世代間ギャップの障壁にぶち当たった時に乗り越える能力が無い事を棚に上げ「古い慣習全部無駄」みたいな乱暴なツイートして実際ウケていたりするんだけど、黙っとけって話ですよね。
修羅場を切り抜けた者だからこそ言わせて貰うけど、困ったら五木ひろしだから。
五木ひろしで乗り越えられなかったら?
そん時はお手上げ。
「古い慣習全部無駄」で乗り切ろう。