液体パパ

3人子育て中の個人タクシードライバーがわりと変な記事を公開します。



【もしこど】巌流島の決闘編

【もしこど】は童話や歴史的場面で、もしも子供や赤ちゃんがいたらどうなっていたのかを考えるシリーズです。

今回は巌流島の決闘編。


剣豪宮本武蔵は佐々木小次郎との決闘の地、巌流島に到着したのだった。


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「待たせたな佐々木小次郎!いざ尋常に勝負!」

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「いや武蔵さん、武蔵さん。なんか、相手まだ来てないっぽいですけど」

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「はぁ?嘘だろ?俺結構遅れて来たつもりなんだけど!俺の方が遅い自信あったんだけど!」

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「自信あったんですか」

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「あったよ!絶対鍵閉めたの分かってたけど、敢えて一回家戻ってドアノブガチャガチャやったし!何で俺の方が早いんだよ!」

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「知りませんよ」

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「小走りなら確実に渡れた信号も無理しなかったし!あー無理だったかーみたいな、残念がる小芝居とかやったりもしたと言うのに!何でだよ!」

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「知りませんよ」

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「あーごめんごめん。待った?」

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「お、遅いぞ小次郎!無いわー。決闘に遅れるとか大人として無いわー」

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「いやほんと申し訳ない。出掛ける時になってこの子リバースしちゃってさー。着替えとかで時間くっちゃったよ。つばめ返しかと思ったよ」

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「別にうまくないし。大体決闘だってのに子供連れてくるかね普通」

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「でもさぁ、まだ一人で家に置いておける年齢じゃないしさ。もし万が一何かあったらさ、決闘に勝ったとしても負けみたいなもんじゃん」

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「そうかも知んないけど…事情知っちゃうとすげーやりにくいんですけど」

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「この後も公園行く約束しちゃってるから忙しくってさー」

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「なにこの人やり辛っ!佐々木小次郎との決闘やり辛っ!」

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「その帰りにキシリトールの粒ラムネも買わないとね。歯磨き後にご褒美みたいな感じであげてんのよ」

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「それ以上言うな!生活の感じをそれ以上出すな!既に何か後押しが無い限り決闘したくない段階に来てる!」

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「あ、そうそう、明日図書館でさ、自動車の本借りる約束しているから明日もてんやわんやだよ。まぁこういう忙しい毎日も、いつか良い思い出になるんだろうね」

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「うるせーうるせー。何なのお前!減点!かなり減点!もうこうなっちゃうと、そこの船頭と決闘した方がまだマシだよ」

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「何言い出してんだこの人…」

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「そう言えばこの前パチンコ屋の駐車場で。車に子供放置した」

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「あれ?まじかお前!」

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「奴がいたから慌てて警察と消防呼んでさ、ガラス割って救出したよ。ほんと不届き者が後を絶たないね」

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「お前という奴は!もう好きになりかけてる!俺の中の何かがあなたを熱く欲している!」

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「その前は道路に飛び出した子供がいて」

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「……」

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「何とか間に合って助け出したよ。こっちは肋骨折れたけど、あの子無事で良かったー」

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「でしょうね!あなたならそうするでしょうね!仮に見過ごしてたら決闘してたけど俺の知るあなたはそこで動ける人間ですものね!」

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「その前もさ…」

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「迷子になってた子と一緒にお母さん探してあげて、道中不安で泣き出しちゃう子を何度も何度も励まして、本当は月に一度の自分の時間だったのにそれを全部費やして見つけてあげたんでしょ!」

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「何で知ってるの?」

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「でしょうね!あなたは放っておけないのでしょうね!それを放っておく佐々木小次郎と決闘したかったのに放っておけない佐々木小次郎が来ちゃったのよね!」

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「さて、ではそろそろ始めようか」

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「出来るかっ!」