【もしこど】もしも子供がいたらシリーズ~桃太郎編第2話~
【もしこど】は童話や歴史的場面で、もしも子供や赤ちゃんがいたらどうなっていたのかを考えるシリーズです。
今回は桃太郎編の第2話。
桃太郎一行は相変わらず鬼ヶ島を目指して旅をしているのであった。
「あのさ、鬼ヶ島ってさ、オムツ捨てられる場所とかあんのかな?」
「また馬鹿な事言うの止めてくださいよ桃太郎さん。ある訳ないですよ」
「だってさ、もう既に交換済みのオムツが結構な量になってんだよ。地味に重いんだぜこれ」
「確かに外でオムツ捨てられる所って全然無いもんねぇ」
「鬼ヶ島くらいちゃんとした施設ならあっても良いと思うんだけど」
「鬼ヶ島を施設って言うな」
「だまれ猿」
「確かにこのペースで行くとかなりの量になっちゃいますね」
「そうなんだよ。考えてみ?鬼ヶ島に着いて鬼を退治したとするじゃん?でも宝物とか持って帰れないからね」
「あー確かにオムツ持って帰るだけで手一杯かもね」
「今のご時世、宝物取って代わりに使用済みオムツを置いていったらきっと大炎上しますね」
「だろ?お爺さんお婆さんガッカリするよ~?老後の資金としてあてにしてた宝物の変わりに汚れたオムツ持って帰っちゃうんだもん。死ぬまで洗濯と芝刈りだよ」
「嫌な言い方するな」
「黙れ愚かなる猿よ。これが現実だ」
「おぎゃーおぎゃー」
「わー今度は何だろな」
「お腹空いたんじゃないの?」
「哀れ愚かなる猿よ。素人はすぐそう思うんだ。このパターンは多分同じ体勢で抱っこし続けたせいだ」
「そういうのでも泣くんだね」
「やっぱし蒸れて痒くなったりもするからな」
「ベビーカーに乗せてくれば良かったのに」
「地獄の愚か猿かよ。お前の家の屋根壊すぞ!」
「なんでこの人は猿にだけ当たりが厳しいのかなぁ」
「ベビーカーに乗せると泣きっぱなしになるんだよ。そういう子って結構いるんだよ。そうなると結局抱っこになって、道中ベビーカーが邪魔になっちまう。島の鬼の密度がすごいとベビーカーうざがられるしね」
「鬼の密度がすごいとそもそも退治できないけど」
「でもどうします?」
「どうするってそんなの決まってるじゃん」
「おぎゃーおぎゃー」
「おぎゃーおぎゃーあんぎゃー」
「泣き止みませんね」
「やっぱりお腹空いたっぽいな。鬼ヶ島へ急ぐぞ」
「………」